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2020.05.12

臨時休校期間中の北海道の先生たちの声 vol.1~札幌立命館慶祥高等学校 月館先生~

いま感じているフラストレーションは?

嶋本:臨時休校が始まったいま、率直にどんなところにフラストレーションを感じていますか?

月館:子どもたちに会えないことですね。ただ、それって教員のエゴなんですよね。だから、会わずに生徒たちの学びを止めないことって、学校としてどうやってできるんだろう?ってのが、今の悩みなんです。自分がオンライン授業をするとしても、東進ハイスクールみたいなものもあるわけで、そういうのにかなわないとすると、自分にできることはなんだろう?って思いますね。

嶋本:たしかにたしかに…。学校としてどういう風に、休校中の学びの環境を用意するかが、大きな課題になりそうですね。

月館:そうなんですよ。僕は、会えない中でいかに信頼関係・安心感をつくれるかっていうのは今後学校が解決しなきゃいけない課題なんだろうなぁと思っているんですよね。

嶋本:なるほど。情報的な価値ではなく、信頼関係や安心感ですか。確かに、それは信頼している学校の先生だから提供できる価値かもしれない。ちなみに、いまはどんなことをやっているんですか?ほかの学校の先生からも同じような悩みを正直聞いたりしていて…

月館:そうですね。このような状況なので、子どもたちが自分の目標を持てるための環境づくりをしていく必要があると思っていて。その一環として、いま毎日生徒たちとオンラインコーチングというのをやっています。

嶋本:コーチングですか!どんなことをやっているんですか?

月館:1人15分くらいで、今日なんかは16人くらい一日に見てますよ。笑

嶋本:え!16人!え!すごい。笑

月館:はい。笑 話を聞いていると、勉強を問題なく進めている子もいれば、何をやっていいかわからなかったり、暇を持て余している生徒も沢山いるんです。そんなときに、一教員としていいのかはわからないですが、子どもたちに「休校期間の時間がある時だから出来ることってなんだろう?」って聞いてみているんです。

嶋本:なるほど。普段、高校生も忙しいですもんねぇ…。

月館:ホント忙しいんですよ。笑 だから、ずっと忙しいせいでできなかったことって、高校生にも1つくらいあるんです。それは全然大きなことである必要はなくて。普段は全然知らなかったけれど、実は時間があれば絵を描きたかった子が、この期間にびっくりするくらいのクオリティの絵を描いて見せてくれたりしているんで驚かされます。

嶋本:おぉ~。そういうやる気に火をつけているんですね!

月館:そうだといいんですが…!自分の勤務校は進学校ですが、いっそ学校として、一教員としての学びが提供できないのであれば、まずは子どもの意欲を失わせないことに注力したいな、って思ったんです。

嶋本:すごい!そして、それをアクションまでしているのがホント凄いです…!

月館:ありがとうございます。笑 分からないなりに、手探りで頑張っています!

今だからこそ起きている学校現場の変化

月館:こういうオンラインでのコミュニケーションが当たり前になっていくと、今後学校のルールとか、学校現場の在り方がどう変わっていくんだろう?っていうのは、自分としても気になりますね。

嶋本:そうですよね!こういうタイミングだからこそ、色んなものが変わっていく瞬間にもめぐりあえそうですね…!実際にどんな変化が起きていますか?

月館:これまで「ITは若者のツールだ」と思っていた年配の先生方もZoomなどの使い方講習に参加されるようになったりしているのは、大きな変化でしょうね。これまでの「便利なので使いましょう」とは違った切迫感がありますから。

嶋本:いや、そうですよね。

月館:他校がどうかは分からないですが、新陽高校はやはりそのあたり動きが早かったなぁって思っていました。すぐにClassiの導入をしたり、先生方の在宅勤務も早くて。こういう動きはスピード感が大事だと思うんですが、そこらへんは中々学校現場で対応するのは難しいですよね…。

嶋本:確かにそうだなぁ。でも、着実な変化が見て取れますね。

いま、困っていることは?

嶋本:さっき話してくれたオンラインでのコーチングなどをしていくなかで、いまここに困っています!みたいなことってあったりしますか?

月館:あー、じつは「生徒と連絡が取れない」」っていうのが困りごとですね。これって、いままで全く考えたことが無くて。だって、毎日学校に行ったら生徒に会えたわけですから。笑 唯一の連絡手段だったClassiもセキュリティ障がいで最近使えなくなってしまってとても困っています。

嶋本:おぉ…。ちなみに、いまはどうしているんですか?

月館:クラスでSlackのグループを作って、なんとか連絡を取れるようになりました!

嶋本:なるほど~。そうやってひとつひとつ襲い来る課題をクリアしていく感じですよね。ちなみに、EDUFESのような団体に今どんなことを求めていたりしますか?

月館:う~ん、Zoomの使い方とかはだいぶ分かったんです。でも、その中で各教科の担任は何をしたらいいのか?っていうのを詳しくまとめた内容を知りたいですね。自分の授業づくりにも生きるので。

嶋本:なるほど~。興味がHow(=どうやるか?)からWhat(=ITツールは使える前提で、何をやるか?)に移ってきているんですね。

月館:そうなんです。教材研究みたいなものもなかなかできないですし、そういった情報があれば、シェアしてくれればうれしいです!

嶋本:良い情報がシェアできるように頑張ります!

インタビューを振り返って

学校の先生も臨時休校という未曽有の事態に、途方に暮れながらも、自分たちなりのアクションを起こしているんですよね。それにしても、1日16人面談はすごいなぁ…

月館さんのおっしゃっていたように、「できたらやるの世界」から、「これしか使えないから、変わろう」という「変わらざるを得ない世界」に入っているように感じます。このタイミングに、「僕らは生徒たちにどういう学習環境を創りあげたいか?」といったことを、ゆっくり立ち止まって考え、スピーディに変えていくことが大事なんだろうなぁと改めて思い返しました!

以上!本日はありがとうございました!

月館 海斗KAITO TSUKIDATE

立命館慶祥高校教員

1994年生まれ、札幌市出身。立命館大学国際関係学部卒業後、北海道江別市にある立命館慶祥中学校・高等学校で社会科教員をしている。
大学時代は、大学生と社会人が共に「働く」について語る合宿や持続可能について語り合う飲み会などを運営。教育実習を通して「子どもが安心してチャレンジできる環境づくり」をしたいと思い、教員になることを決意。
現在は教員しながら、コーチングのプロコーチの資格を取り、コーチングを通して子どもたちのやりたいを叶える支援をしている。また「100日後に上手くなる絵」と題して、コロナ100日チャレンジに挑戦中。

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